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泣かないでリーダー

某サイトで7章ネタ募集してたので挙手してみたSS。

ちょっと読んでて鬱になりそうな文なので追記に畳んでしまおう
うちの子完全版は長編でサイトにまとめようかと。
ってか人の子借りといてなんで扉絵はうちのミズキなんですか。



*月明かりなき夜を歩く / とある少女ふたりの場合

理性は「おかしい」って、はっきり警告していたはずだった。
ダンジョンを歩く人々は言うことが支離滅裂だし、通信妨害も酷かった。
だいたい今回の作戦は、13班ほぼ単独で行われているのだから、
わざわざあんなことを言うだけのために、SKYや自衛隊、SECT11がこの地を訪れるとは到底思えない。
それでも、そんな事実は全部頭の中で分かっておきながら、心を食む牙は止まらない。
無慈悲な声が一つずつ、旅人達の心を叩き折っていく。
まひるがあからさまに心を砕かれているのは、止まらない涙でとっくに分かっていた。
いつも通りの表情をするひのででさえも、“平気なふりをしている”というのは、
震えっぱなしの左手を見れば、地球人に詳しくないひぐれだって、なんとなく察せる。

「ひのでちゃん」
“まともな思考を保っている”はずの、まひるのか細い声が、
「結局は嘘だったの?」
いっそう、ひのでの不安をかきたてる。
「何がよ」
返すひのでは、語勢の棘を隠そうともしない。隠す余裕なんてなかった。
頼みのひぐれも、無表情で二人を眺めるのみだ。
「…議事堂で、リン隊長やキリノさん達は、わたし達をいつだって励ましてくれた。
 けれども、今この場所で聞いてることが、本当の本音なら……」
「ばっかじゃないの」
遮る怒り交じりの声に、まひるの肩が跳ね上がった。
「少し考えればわかるじゃない。ここは帝竜のふところよ、何があってもおかしくない。
 知ってる人の幻を使って、アタシ達を惑わそうとしてるのかもしれないわ」
「私もそれに賛成だな。なんというか、ここの人間はみな、ネジが飛んでるように思う」
ひのでの意見に、あっさりとした笑顔で頷くひぐれ。
ある意味、普段からネジが飛んでる彼が言うのだから、このダンジョンのイカレ具合は容易に想像がつく。
「…それだったら、帝竜がみんなの本当の気持ちを読み取って、言ってきてる可能性もあるよ。
 それこそわたし達のようにサイキックで…PSI使いなら、不可能じゃない」
しかし、こんな時に限って、まひるが引き下がろうとしない。
さらに反論しようとしたひのでは、反論が自分の中で言葉にならないことに気づく。
だってどちらの仮説も、仮説でしかない。結局は水掛け論に過ぎない。
「何、あんた。悪い方に考えなきゃ気が済まないわけ?」
だから、語勢で押さえつけようとするしかない。
まひるの言葉も、自分の中に巣食い始めた苛立ちや痛みも。
「違うよ…違うんだよ。わたしだって…こんなこと考えたくない…。
 だけど、…あんなこと聞いたから、嫌な考えがわたしの中で止まってくれないの」
抱える、あたま。漏れ出す、ことば。
辛辣な言葉を投げかけた“幻”たちのように、それは少女ふたりの心を突き刺す。


そうだよ、本当は、認めたくないだけ。
自分を苦しめる、都合の悪い言葉なんか、聞きたくないだけ。
そうやって逃げてるんじゃないの?
正義のヒーローきどって、みんなと仲良しこよしでいようとして、みんなにはもてはやされて、
その裏で本当はみんなに苦しい思いをさせて、いらない犠牲を強いて、

…ほんとうは、わたしのいる場所なんか、どこにもなかったんじゃないの?



「黙れっ、まひる!!」
びりびりと空気を震わせる怒鳴り声。
きぃんと鳴る耳にふたをしたひぐれと、腰を抜かしたまひる。
そして叫んだひのでは、というと、しばらく叫んだ時の姿勢と表情を解かなかった。
しかし流れる静寂、ただめそめそと泣くばかりのまひるを前にして、
ゆっくりと彼女からも覇気が、表情が抜け落ちていく。
「本当、どうかしてるのよ。まひるも、…アタシも」
それ以上何か言うこともなく、ひのでは二人に背を向け、歩き出した。
彼女に従い、行こう、とまひるの肩をひぐれが支え、後に続く。

「ひので」
「…今は黙ってて」
何気なく名を呼んだひぐれに、返ってきたのは彼女らしからぬしぼんだ声。
罪悪感と痛みに耐えきれなくなった少女からこぼれ落ちた雫は、
朝露のように、不思議と綺麗だった。

 ************

ヒゲさま家の13班で7章精神汚染ネタ。ひぐれくんがただの紳士。
探偵事務所バージョンは10行書いて挫折しましたorz
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